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法律コラム
2022.06.21

遺言の日-3-

 遺言書は、遺言者が生きていて遺言をする能力を有するうちに、自分の財産の死後のあり方を決めるものです。それゆえ、遺言者が判断能力を有するうちでなければ、作成することができません。認知症等にかかり、判断能力がなくなってからでは、遺言をすることができません。まだ自分で何とかしておかなければならないと考えられるうちに、早めに遺言書作成に着手しましょう。
 それから、遺言書が相続人間の紛争を完全に解決してくれるわけではないことは、言うまでもないことです。相続人のうちの誰かだけに、極端に遺産を集中させるような遺言は、どうしても紛争の種となります。遺留分に関する争いを生じさせることになりがちです。誰かに手厚くしてあげたいという気持ちもわかりますが、バランスも考慮しましょう。また、どのような遺言を作成するにしても、なるべく他の相続人にも事前に説明して、理解をできるだけ得ておくことが紛争の予防につながるでしょう。
 ところで、遺言は、被相続人が亡くなって初めて効力を生じます。それまでは、遺言書があるというだけです。遺言書によって利益を受ける相続人等も、遺言書があるというだけでは、安心することはできません。遺言書自体、遺言者に遺言書作成能力がある限り、いつでも作り替えられます。また、遺言書を作り替えなくても、売買等によって、遺産に属する財産を処分することにより、実質的に遺言を変更することがいつでも可能だからです。遺言には、このような不安定な面もあることを知っておく必要があります。
 遺言書のように、簡単に変更されないようにする方法は、1つは民事信託です。民事信託については、また近いうちにご紹介したいと思っていますが、信託契約書で、委託者(財産を保有する高齢者等。遺言者となる立場の人)と受託者の合意によらなければ信託を解約できないことにすれば、遺言者の心変わりによる変更を避けることもできます。一考に値すると思います。

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