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法律コラム
2022.10.06

離婚とお金について③~財産分与と慰謝料編~

前回、前々回の記事に引き続き、離婚とお金についての記事を書いていきます。

以前の記事の「離婚とお金について~住宅ローン、別居問題編~」

「離婚とお金について②~婚姻費用分担金と養育費編」もご覧ください。

 

④ 財産分与等
財産分与について記せば、ここのスペースでは到底収まり切りませんので、ポイントのみ記します。

財産分与とは、婚姻期間中に形成した財産は、夫婦の協力の下に形成されたものと考えられるので、婚姻を解消するに当たり、それを清算しようというものです。夫婦の持分割合は2分の1とされるのが通常です。不動産が共有で登記されている場合も、その持分割合によるのでなく、2分の1を原則とすることになります。

 

夫婦がそれぞれ婚姻前に有していた財産は、夫婦の協力の下に形成されたものではないので、固有財産となり、財産分与の対象ではありません。大金持ちと結婚できたからといって、離婚によりその財産を引き継げるわけではないのです。夫婦のそれぞれが、肉親からの相続等により取得した財産についても同じことがいえます。

 

このようなものですから、夫婦として生活していれば、どれくらい共有財産となるものが我が家にあるのか、大体わかるのではないでしょうか。住宅ローンを支払っているお宅には、それほどの預貯金はないのが普通でしょう。生活を切り詰めなければならないほどの保険契約も、通常はしていないでしょう。そうすると、財産分与の対象財産というものもそう多くはないことがわかると思います。それなりに長く夫婦生活を営んできた方で、比較的裕福だった方以外は、財産分与にはあまり大きな期待はかけられないと思います。

 

なお、ローンの多く残っている住宅などは、住宅価格の方がローン残高より低い(オーバーローン)のが通常なので、多くの例のように夫名義であれば、マイナスの財産として、財産分与の対象となりません。ローン付きのマイナスの価値の住宅が妻に分与されるわけではないということです。ただし、妻がローンの保証人になっていたりすれば、妻も住宅ローンの負担から免れるわけではありません。

 

反対に、離婚後は夫にローンを支払ってもらって妻子が住み続けるという財産分与も、夫の負担が過大なので、通常成立しません。
  

これも財産分与の一種ということになりますが、年金分割というものもあります。当事者間の合意だけでは取り決められず、調停調書や公正証書によることが必要です。

 

⑤ 慰謝料
性格の不一致で離婚するという多くのケースでは、慰謝料は請求できません。夫婦の一方が勝手に出て行ったとしてもです。慰謝料請求ができるのは、夫婦の一方が他の異性と不貞行為を行ったり、暴力を振るったりして、それが離婚に結びついた場合に限られると考えた方がよいと思います。

 

慰謝料が請求できる場合もその金額は、最近の裁判では200万円くらいがいいところだと思います。もう10年ほども前に、有名な野球選手の離婚が世間を騒がせ、慰謝料1億円などといわれましたが、あれは財産分与的なものも含み、それが大きかったようです。慰謝料に多大な期待はできません。

 

⑥ 弁護士費用、裁判費用
これも忘れてはいけません。離婚するのに、調停、裁判と弁護士を立てて争えば、その費用がかかることになりますが、弁護士に頼んで離婚の裁判をすれば何百万円もかかると思っている方がいるのではないでしょうか。

 

現実にはそんな費用はかかりません。弁護士の側からすれば、離婚事件で多額の弁護士費用を請求できるのは、妻の側の代理人を務め、多額の財産分与を得ることができた場合などに限られるように思います。財産分与の実情は上記④のとおりで、なかなか多額の財産分与というのも多くありません。

夫の代理人となれば、財産分与は請求される側ですから、得るものは通常ありません。よほど多額の財産分与を請求されていて、その請求を退けることができたような場合でないと、高額な弁護士費用には結びつきにくいです。

 

当事務所では、離婚調停の着手金は20万円(税別)、離婚訴訟の着手金は30万円(税別。調停から引き続き受任の場合は、合計で30万円の意)です。報酬は、財産分与、慰謝料、養育費等で得たり、請求を退けた経済的利益を元に、日弁連基準に基づき算定させていただきます。びっくりするような金額になることはあり得ません。
裁判費用は、ほとんど弁護士費用で、大きなものはかかりません。

 

このように、離婚には、さまざまな支出がともなうことがわかっていただけたと思います。こういったこともよく理解した上で、離婚を検討することが必要になります。

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