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法律コラム
2021.10.26

任意後見について

人は誰も高齢になることは避けられず、それに伴い、認知症等にかかるなど、意思能力、判断能力が低下することもよくあることです。財産を持っている方がそのような状態に陥ったとき、まず思いつくのは、成年後見制度です。けれども格別財産のある方でなくても、介護施設の入所等に、ご本人が意思決定できる状態になければ、誰かが代わって契約をしなければならず、そういう時に後見人(意思能力低下の程度により、保佐人・補助人等)の力を借りなければならなくなります。
 しかし、成年後見制度は、「法定後見」という言い方をされますが、いろいろと法の定めによる制約があり、ご本人の思うような財産管理等の仕方をしてもらえないこともあります(その時点ではご本人は自分の意向を述べることもできなくなっていることも多いですが)。
 そういうときに備えて、まだ意思能力が低下する前に、ご本人が自分で望む方に、ご自分の望むやり方で、財産管理や身上看護をしてもらうように決めておくことができるのです。これが任意後見制度です。
 任意後見では、公正証書により、任意後見人と契約をしなければなりません。また、任意後見契約をしておいてから、意思能力が低下したら、任意後見人等が、家庭裁判所にご本人の意思能力が低下したという証明をして、任意後見監督人の選任を求めます(これは弁護士等の専門職が選任されると思います。)。ここから任意後見がスタートし、この任意後見監督人の監督の下で、任意後見は行われていきます。しかし、これらのことを考慮に入れても、任意後見は、法定後見に比して、かなり自由度が高いです。例えば以下のとおりです。
1 任意後見人の選任→自由に選任できる。法定後見では家庭裁判所が選任。
2 財産の処分→予め決めておけばかなり自由。これに対し、法定後見では、自宅の処分や車の購入等は認められない。
3 予め決めておけば、定期・不定期の贈与もできる。法定後見では贈与は認められない。
 このように、ご本人が予め決めておいた線に沿って、意思能力低下後の生活をやっていけるようにするというのが、任意後見制度です。
 ご本人の自己決定権の尊重という面からすれば、もっと活用されてよい制度であると思います。

 我々もそういった面から、さらに活用されるように検討を重ねていかなければいけないと思っています。

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