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法律コラム
2022.07.11

ウェブ会議を利用した裁判手続について

 7月5日に、ある地方裁判所の支部でのウェブ会議を利用した裁判手続がありました。裁判所に実際に出頭するのではなく、裁判官と双方代理人が、インターネット回線を通じて、ウェブ会議のソフトにより、パソコンの画面で顔を合わせ、動画と音声でやりとりするのです。

 この手続は、一部の地裁本庁で、2020年2月から利用が開始され、徐々に拡大してきたもので、地裁支部で利用が可能になったのは、今年2022年5月下旬からなのです。当事務所に最も近い静岡地裁浜松支部で開始されたのもこの時期となります。

 それまでも、遠隔地の地方裁判所(家庭裁判所のお話は別にします。)に、現地に赴かなくても出頭した扱いとなる方法はありました。それは、弁論準備という手続で行う電話会議というものです。

 この場合は、当事者の一方は裁判所に出頭するのが原則で、もう一方は弁護士事務所から、裁判所からかかってくる電話を受けることで出頭にしていたのでした。この電話会議と今回のウェブ会議と比べると、ウェブ会議の功罪はちょっとおいておくとして、裁判所の雰囲気がわかる点は絶対プラスだと思います。当事者の一方は裁判所に実際に出頭して、裁判官の面前で裁判官と直接やりとりをしているという状況で、こちらは電話の音声だけ、というのは、裁判官がどう感じているのだろうかなど、かなり不安を感じるものがあります。そういったことから、これまでも、遠隔地であっても、無理のない範囲で、できるだけ裁判所に出頭するようにしていたという代理人は少なくないと思います。

 これに対し、このウェブ会議の手続は、現行法上、書面による準備手続という手続なのですが、この方法では、双方出頭しないのがむしろ原則なので、相手だけが出頭してこちらだけ電話ということもありません。したがって、電話会議の時に感じた不安は感じなくてよいものとなりました。

 そういったこともあって、遠隔地の事件も受任しやすくなりました。遠隔地の裁判所から呼出状が届いたという方も、遠慮なくご相談においでいただければと思います。

 この手続は、弁護士でなければ利用できない運用がされています。そのため、ご本人で訴訟をしようと思えば、遠隔地の裁判所であろうとも、出頭しなければなりません。時間と手間、費用、そして弁護士に相談できるということを考えれば、弁護士に依頼することが合理的となっています。

 また、家裁では、調停などで電話会議が利用されるようになったのですが、まだ電話会議以外の方法(上記のようなウェブ会議も)は利用されていません。それでも調停では当事者が当然出頭するものとされていた以前と比べれば、大分楽にはなっています。

 この5月に民事訴訟のIT化を促進する民訴法の改正法が国会で成立し、家裁の事件も含め、ますますウェブ会議が主流になっていくと思われます。我々は、その運用も見守っていかなければならないと思います。

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